
私の故郷は、九州の大分県佐伯市という作家の国木田独歩ゆかりの街です。昔は海軍の港もあったところで、四国を挟んだ豊後水道で捕れる「関あじ」の他、海の幸のとても美味しいところです。中学生の時、修学旅行で初めて奈良・京都を訪れて以来、歴史や古寺に興味を持ってその思いは次第に大きくなり、大阪での学生時代、休みにはほとんど奈良や京都の古寺を廻っていたように思います。 中でも気に入っていたのが、東大寺と西ノ京・唐招提寺で、スケッチブックはいつも欠かさず、半日以上かけて描いていたものです。いろんなところで何度もスケッチをしていると、細部の形やデザインで創られた時代までわかってくるのが不思議でした。 私の家づくりの情熱もそんな古寺への憧れが原点なのかもしれません。

社会に出て憧れの奈良で仕事が出来ることは、私の夢が叶った思いでした。ただ近くに住むようになるとなかなか行けないもので、それでも近くに大好きな古寺がたくさんあるのが心のよりどころであり、たまの休みにのんびりと訪ねるのが数少ない楽しみのひとつでした。
そして初めての家庭も唐招提寺の近くに居を構えることになり、念願のこの地に骨を埋めることにしました。多くの人に支えられながら、今では第二の故郷になっています。
奈良の気候は、九州に比べてずいぶん違うように思われる方が多いのですが、九州の北半分は奈良よりも冬は案外寒く雪も降りますし、夏はやはり蒸し暑く、台風銀座と言われるほどで、自然環境に特別恵まれている訳でもありません。ですから、家づくりに求められる条件も奈良と大きな違いはありません。少なくても「冬暖かく、夏涼しい」家づくりは、ほとんど何処でも同じニーズだと思います。